不動産取引の契約書類が並ぶデスク
超高級不動産ガイド 2026.03.15 公開
#超高級不動産ガイド #取引形態

仲介・三為・買取再販 — 不動産取引の3つの形態

この記事でわかること

Q. 仲介と買取再販では、買主が支払う費用はどう違いますか?
A. 仲介では物件価格に加えて仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)を支払います。買取再販では業者が売主のため仲介手数料は発生しませんが、業者の利益が物件価格に含まれています。トータルの負担はケースバイケースです。
Q. 三為契約とは何ですか?
A. 三為(さんため)契約は「第三者のためにする契約」の略称で、民法537条に基づく契約スキームです。売主と買主の間に業者が入り、それぞれと売買契約を結びますが、所有権の登記は売主から買主へ直接移転します。業者は登記上の所有者にならないため、登録免許税や不動産取得税を節約できます。
Q. 買主として三為契約のリスクはありますか?
A. 三為契約では、売主から業者への売却価格が買主に開示されないことが多く、業者がどれだけ利益を乗せているか分かりにくい点がリスクです。特に投資用物件では、業者の利益が上乗せされた結果、購入時点で想定利回りが実態と乖離しているケースがあります。

不動産を買うとき、相手は誰なのか。

仲介会社を通じて個人の売主から買う。これが最もイメージしやすい取引の形でしょう。しかし実際には、不動産取引にはいくつかの異なる形態があります。仲介、三為、買取再販。この3つは、買主から見えるお金の流れも、リスクの所在も、まったく違います。

超高級不動産の世界では、この違いを理解していないと、物件の価格が適正かどうかの判断すらできません。

仲介 — 売主と買主をつなぐ

最も基本的な形態です。売主が物件を売りたい。買主が物件を買いたい。その間に立って、条件交渉や契約手続きを進めるのが仲介会社の役割です。

お金の流れはシンプル。買主が支払う物件代金は、そのまま売主に渡ります。仲介会社の収入は仲介手数料で、宅建業法で上限が決まっています。売買価格の3%+6万円+消費税。10億円の物件なら、手数料は約3,366万円。売主側・買主側それぞれの仲介会社が手数料を受け取るのが基本で、同じ会社が両方を担当する「両手仲介」もあります。

所有権の登記は売主から買主へ直接移転します。取引の構造として最もシンプルで、価格の透明性も高い。売主がいくらで売りたいのか、買主はいくらで買いたいのか、仲介会社を通じて双方の条件が見える形になります。

graph LR A[売主] -->|仲介依頼| C[仲介会社] C -->|物件紹介| B[買主] B -->|物件代金| A A -.->|手数料| C A -->|所有権移転| B B -.->|手数料| C

三為 — 間に入るが、所有者にはならない

三為(さんため)契約。正式には「第三者のためにする契約」。民法537条に規定されているスキームで、2007年の法改正以降、不動産取引で広く使われるようになりました。

仕組みはこうです。売主(A)と業者(B)が売買契約を結ぶ。同時に、業者(B)と買主(C)も売買契約を結ぶ。ただし、所有権の登記はA→Cへ直接移転する。Bは契約上の当事者ではあるものの、登記上の所有者にはならない。

業者にとってのメリットは明確です。自分の名義で登記しないから、登録免許税も不動産取得税もかからない。自己資金をほとんど使わずに、売買差額を利益にできる。

graph LR A[売主 A] -->|売買契約①| B[業者 B] B -->|売買契約②| C[買主 C] A -->|所有権移転(直接)| C

買主から見ると、取引の相手は業者(B)です。仲介ではないので、仲介手数料は発生しません。ただし、その代わりに業者の利益が物件価格に含まれている。そして多くの場合、AからBへの売却価格は買主に開示されません。業者がいくら乗せているのか、買主には見えない。

ここが三為契約の核心的なリスクです。

投資用ワンルームマンションの世界では、三為は珍しい契約ではありません。ある業界関係者の記事によれば、投資用マンション取引の大半が三為で行われているとも言われています。業者が金融機関と提携し、「頭金なしフルローン」のパッケージで販売するスキーム。物件価格には業者の利益がしっかり乗っているから、買った瞬間に実質的な資産価値がローン残高を下回る。利回りも、業者が設定した価格を基準に計算されるから、実態より良く見えてしまう。

2018年に問題になったシェアハウス投資の破綻事件は、この構造の極端な例でした。

一方で、一棟ビルや土地の売買では、三為はごく普通に使われています。売主が早く現金化したい、買主が決まっている、登記コストを抑えたい——合理的な理由がある場合、三為は効率的なスキームです。すべての三為が悪いわけではない。問題は、買主が仕組みを理解しないまま取引に入ることです。

買取再販 — 業者自身が所有者になる

買取再販は、業者が物件を自社で買い取り、所有者として保有したうえで売却する形態です。三為と違い、業者の名義で登記が行われる。登録免許税も不動産取得税も業者が負担します。

graph LR A[売主] -->|売買契約| B[買取業者] A -->|所有権移転①| B B -->|売買契約| C[買主] B -->|所有権移転②| C

買取再販には大きく2つのパターンがあります。

付加価値型。 古家付きの土地を購入して新しい建物を建てる。あるいは中古マンションを買い取ってリノベーションし、価値を高めてから販売する。物件に手を加えることで、仕入れ価格との差額以上の価値を生み出す。不動産業の王道と言っていいでしょう。

転売型。 物件を購入し、そのまま——あるいは最低限の手入れだけで——より高い価格で売却する。付加価値を加えるのではなく、市場の価格差や情報の非対称性を利用して利益を得るモデルです。

転売型の買取再販が超高級市場で問題になるのは、転売の連鎖が発生するときです。分譲価格で購入した1次購入者が利益を乗せて売却し、それを2次購入者が買い、さらに買取再販業者が高値で仕入れる。連鎖の末端にいる業者は、仕入れ価格が高いぶん、さらに高い価格で売らなければ利益が出ない。買い手がつかなければ在庫を抱えることになります。

買主にとっては、「この物件の価格には何が含まれているのか」を意識する必要があります。付加価値型であれば、リノベーション費用や建築費が価格に反映されているのは当然のこと。しかし転売型の場合、価格に含まれているのは業者の仕入れコストと利益だけ。物件自体の価値が価格に見合っているかは、別途判断が必要です。

買主として何を見るべきか

取引の形態が違えば、注意すべきポイントも変わります。

仲介の場合 — 取引の透明性は高い。売主の希望価格が見えるし、仲介手数料も法定の範囲内。注意すべきは、仲介会社の情報量と交渉力の差。超高級市場では、どの仲介会社を通じるかで得られる情報がまったく違います。

三為の場合 — 業者の仕入れ価格は基本的に開示されません。開示しないからこそ三為を使っている。だからこそ、周辺相場や類似物件の取引事例と自分で比較して、提示価格の妥当性を検証する必要があります。「仲介手数料がかからないからお得」という説明を額面通りに受け取らないこと。

買取再販の場合 — 業者が売主なので、宅建業法上の契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)が適用されます。この点では、個人の売主から仲介で買うより保護が厚い。一方で、価格には業者の仕入れコストと利益が含まれていることを前提に、物件の実態価値を見極めることが重要です。

どの形態が良い・悪いではなく、自分がどの形態で買おうとしているのかを理解しているかどうかが重要です。それを理解していれば、価格の読み方も、交渉のしかたも変わってきます。


当メディアの記事は実務経験に基づく解説です。個別の投資助言を目的とするものではありません。

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